手続きの全体像——書類は3つ、命は順番

編集担当の佐藤
ポイント解説

登場する書類は「受入証明」「埋葬証明」「改葬許可証」の3つだけ。流れは6ステップで、受入先の確保が最初、撤去工事は最後です。この順番を守ることがすべての土台になります。

ご遺骨をいまのお墓から別の場所へ移すことは、法律上「改葬」と呼ばれ、市区町村長の許可が必要です[1]。手続き全体は、次の6ステップです。

  1. 1

    関係者に伝える:親族と、お墓のある寺院・霊園へ。ここが最初です。

  2. 2

    新しい納骨先を決め、受入証明書をもらう

  3. 3

    いまの墓地の管理者から埋葬(埋蔵)証明をもらう

  4. 4

    お墓のある市区町村へ改葬許可を申請し、改葬許可証を受け取る

  5. 5

    閉眼供養をして、ご遺骨を取り出し、墓石を撤去する

  6. 6

    改葬許可証を新しい納骨先へ提出し、納骨する

ステップ1を最後に回して、工事の日程まで決めてから寺院へ伝えると、話がこじれやすくなります。手続きの最初の仕事は、役所ではなく「挨拶」——ここだけは覚えて帰ってください。

改葬許可証とは——取り方と申請先

編集担当の佐藤
ポイント解説

改葬許可証は「このご遺骨を移してよい」という市区町村の許可書です。申請先は、いまお墓のある自治体。ご遺骨ごとに1通必要で、新しい納骨先に提出するまでが役目です。

改葬許可証は、改葬の中心となる書類です。墓地埋葬法の施行規則で、申請に書く内容(死亡者の氏名、埋葬の場所、改葬の理由、新しい納骨先など)が定められています[2]。

実務で大切なのは次の4点です。

  • 申請先は「いまお墓のある」市区町村:ご自身の住民票のある自治体ではありません。遠方なら、郵送申請に対応しているか自治体サイトで確認を。
  • ご遺骨ごとに1通:3体移すなら3通です。誰が入っているか分からないお墓は、管理者・親族への確認と納骨室の実地確認が先になります。
  • 添付書類は自治体ごとに違う:埋葬証明・受入証明の要否や様式に差があります。「(自治体名)改葬許可」で検索し、案内に従ってください。
  • 原本は納骨まで保管:改葬許可証は新しい納骨先へ提出します。紛失すると再発行の手間がかかるため、受け取ったらコピーを取り、原本は封筒で保管を。

そろえる書類3種類と、入手の順番

編集担当の佐藤
ポイント解説

「受入証明(新しい納骨先から)→埋葬証明(いまの墓地から)→改葬許可申請(役所へ)」の順でそろえます。前の書類が次の申請の添付書類になるため、順番の入れ替えができません。

1.受入証明書(永代供養許可証・使用許可証など)
新しい納骨先が「このご遺骨を受け入れます」と証明する書類です。契約すると発行されます。名称は施設によって違います。

2.埋葬(埋蔵)証明
いまの墓地の管理者(寺院・霊園・自治体)が「このご遺骨がここに埋葬されている」と証明するものです。改葬許可申請書の管理者欄に署名・押印をもらう形式の自治体もあります。この証明をもらう場面が、実質的に寺院へ改葬の意思を伝える場面になります。だからこそ、事前の挨拶が効いてきます。

3.改葬許可申請書
お墓のある自治体の様式に記入します。書き方でつまずきやすいのは次の3か所です。

  • 死亡者の本籍・死亡年月日が分からない:古いご遺骨では珍しくありません。分かる範囲で記入し、不明部分の扱いを窓口に相談してください。除籍謄本で調べられることもあります。
  • 申請者と墓地使用者が違う:使用者(名義人)の承諾書を求められることがあります。名義人が亡くなっている場合は、承継の手続きが先になることも。
  • 改葬先の欄:受入証明書の記載と一致させます。
受入証明書新しい納骨先からもらう
埋葬(埋蔵)証明いまの墓地の管理者からもらう
改葬許可証お墓のある市区町村へ申請して受け取る
新しい納骨先へ提出原本を出して納骨したら完了
書類は3つだけ。上から順にそろえます(前の書類が次の申請に必要になるため、順番は入れ替えられません)。

閉眼供養・取り出し・撤去・納骨

編集担当の佐藤
ポイント解説

許可証が出たら、閉眼供養→ご遺骨の取り出し→撤去工事→納骨の順です。取り出したご遺骨の状態(湿気・量)をこの時点で確認し、必要なら洗浄・乾燥や粉骨を手配します。

改葬許可証を受け取ったら、いよいよ現地での作業です。

  1. 1

    閉眼供養(魂抜き):お墓から魂を抜く法要です。宗派や地域で呼び方が変わります。日程は僧侶と石材店の両方に関わるため、早めの調整を。

  2. 2

    ご遺骨の取り出し:石材店が行うのが一般的です。長年納骨室にあったご遺骨は水分を含んでいることが多く、そのままでは新しい納骨先に納められない場合があります。洗浄・乾燥、必要に応じて粉骨を手配してください(粉骨の記事で詳しく解説しています)。

  3. 3

    撤去工事と区画の返還:更地に戻し、管理者に区画を返します。原状回復の範囲は管理者の指定に従います。費用の見方は墓じまいの費用の記事をご覧ください。

  4. 4

    新しい納骨先へ納骨:改葬許可証の原本を提出して納骨します。ここで手続きは完了です。

順番を間違えるとどうなるか。たとえば許可証が出る前に工事をしてしまうと、ご遺骨の置き場に困り、書類の取り直しが発生します。「書類が先、工事は後」——迷ったらこれだけ思い出してください。

代行に頼める範囲と、自分でやるべきこと

編集担当の佐藤
ポイント解説

書類の収集・申請は行政書士に代行を頼めます。一方、寺院への挨拶と親族への連絡は、代行できても代行しないほうがよい仕事です。

挨拶と現地の確認だけは、ご自身で。手続きの代行はその後で十分です。
挨拶と現地の確認だけは、ご自身で。手続きの代行はその後で十分です。

平日に役所とやりとりする時間が取れない方は、書類収集や申請の代行を行政書士へ依頼できます。墓じまいの一括サービスには、工事から手続きまでまとめて引き受けるものもあります。依頼する場合は、どこからどこまでが料金に含まれるか(書類の実費、証明書の取得代行、自治体との往復)を書面で確認してください。

ただし、寺院への挨拶と親族への連絡だけは、ご自身の言葉で行うことをおすすめします。ここを外注すると、手続きは進んでも気持ちの行き違いが残ります。契約をめぐって困りごとが起きた場合は、消費者ホットライン188でお近くの消費生活センター等に相談できます[7][5]。

参考文献

本文中の[数字]は以下の資料に対応します。法令・制度・契約条件は変更される可能性があるため、各公式ページの閲覧日を併記しています。

  1. [1]
    e-Gov法令検索.「墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)」.https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048(アクセス日:2026-07-17)
  2. [2]
    e-Gov法令検索.「墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十四号)」.https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100024/(アクセス日:2026-07-17)
  3. [3]
    厚生労働省.「墓地・埋葬等のページ(散骨に関するガイドラインを含む)」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123872.html(アクセス日:2026-07-17)
  4. [4]
    厚生労働省.「墓地経営・管理の指針等について」.https://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0413-2.html(アクセス日:2026-07-17)
  5. [5]
    独立行政法人国民生活センター.「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」.https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/sougi.html(アクセス日:2026-07-17)
  6. [6]
    消費者庁.「消費者契約法」.https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/(アクセス日:2026-07-17)
  7. [7]
    政府広報オンライン.「消費者ホットライン188」.https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201807/1.html(アクセス日:2026-07-17)
  8. [8]
    厚生労働省.「身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題に対応するためのモデル事業」.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38933.html(アクセス日:2026-07-17)
法律・制度に関するお断り

本記事は一般的な情報であり、個別の法的助言ではありません。個別の判断が必要な場合は、自治体、墓地管理者、弁護士、行政書士、消費生活センター等へご相談ください。

迷ったら、条件を整理するところから

編集担当の佐藤編集担当佐藤

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